疾患因子を分離するアフェレシス医療 特定疾患を対象にした吸着器開発で難病に挑む

血液から目的の成分を分離する意味のアフェレシス。病気の原因となる因子を除去できる新たな吸着材を開発して、アフェレシス関連医療を拡大し、さまざまな疾患治療に役立てようと、2019年8月設立されたのがジャパン・ヘモテック株式会社。吸着材のコスト改善を目指して、誰もが負担なくアフエレシス関連医療を受けられる社会の実現を目指す。さらに吸着療法が確立されていない疾患にも挑み、 難病を改善する新たな吸着器の開発販売を目指す。

病気の治療には、薬という手段が一般的だが、「新薬開発には膨大な開発費がかかリ、患者さんが数万人といった規模では、なかなか新薬の開発に踏み切れない。患者さんが多くない病気では、その疾病に選択的に効く薬は積極的な開発対象にはならないのが実情」(赤須部長)という。こうした病気に対し、医療現湯で用いられているのが、血液から病気因子を取リ除く血液浄化法。国内患者35万人を数える血液透析療法のほか、免疫関連疾患に対しては血漿交換、血漿成分分離、血液吸着などのアフェレシス療法が行われている。この分野で知識と経験を持つ同社が、アフェレシス療法の最もシンプルな形態である血液吸着法を活用して、有効な薬がない重篤な疾患を対象に、新たなアフェレシス療法の開発に挑むことにした。

最近は、分析技術が進んだこともあリ 、「ある疾病の発症経路を含めて、どのような原因物質を取リ除けばよいか 、吸着対象がかなリわかってきた」(赤須部長)。もともと日本は、他国に比べ血漿交換療法が早くから普及し、さまざまな適用疾思に対応した吸着療法が確立されていることからアフェレシス療法を広げられる素地はある。問題は国内薬事法の壁。このため「日本だけでなく 、中国をはじめとする海外も対象に、特定の疾患を対象にした吸着器を開発する。特に血漿交換療法の歴史が浅く、臓器移植が多い中国の関心は高い」(長谷川社長)としておリ、海外で先行して実績を積み上げていく方針だ。

これと並行して、すでに大手メーカーなどから市販されている既存の吸着材の材質や構造を見直し、コスト改善による既存商品の代替えビジネスも展開する。長谷川社長は「まず既存商品がある市場に参入して当社の事業ベースを早期に築き、次いで新規吸着材を投入し、拡大していく」と語り 、1本数十万円するとされる使い捨ての吸着器の低価格化を目指す。これによリ、保険適用の使用回数制限を緩和し、誰もが安心して使えるアフェレシス医療の普及拡大につなげていく。

DATA
ジャパン・ヘモテック株式会社
神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 NANOBIC 2007
事業概要:血液から疾患因子を取り除く吸着器の開発
URL:https://japanhemotech.com